2026. 6. 24 令和8年8月1日施行:介護保険法改正を「組織の信頼構築」に変える

厚生労働省「介護保険最新情報 Vol.1513(令和8年6月22日)」
https://www.mhlw.go.jp/content/001714217.pdf

「また制度改正か……」と身構える必要はありません。

今回の介護保険法施行規則の改正は、「利用者さまの負担を守るための、極めてポジティブなメンテナンス」です。

内容を正しく理解し、現場のスタッフと共有することで、「また費用が上がるのでは?」というご家族の不安を先回りで解消し、施設の信頼を一段高める好機として活用しましょう。

1. 改正のスケジュール

今回の法改正の概要は以下の通りです。

  • 公布日: 令和8年6月22日
  • 施行日: 令和8年8月1日
  • ポイント: 補足給付(特定入所者介護サービス費)の所得区分判定基準を「80.9万円」から「82.65万円」へ引き上げます。

2. なぜこの改正が必要なのか

  • 背景: 年金制度の変更により、老齢基礎年金(満額)が従来の基準(80.9万円)を上回る水準となりました。
  • 目的: 従来の基準のままでは、年金額の上昇によって補足給付の対象から外れ、かえって自己負担が増えてしまうという「不整合(逆転現象)」が生じるリスクがあるため、これを是正する救済措置です。

3. 経営者が押さえるべき「3つの対策」

不安の先回り(利用者・家族への対応)

ご家族は「介護費用の増額」に敏感です。

施行日を前に、「今回の改正は皆さまの負担を増やすものではなく、現状の負担を守るための措置です」と先回りして伝えてください。

  • 対策: 施設だよりや面談等で、「皆さまの負担が変わらないよう国が基準を調整した」というポジティブな背景を説明しましょう。

② スタッフへの情報共有(共通認識の醸成)

多職種が働く現場では、説明の不一致が不信感を生みます。

  • 対策: 「これは負担増ではない」という共通認識を、相談員、事務、現場職員で徹底してください。

想定される質問をまとめた「1枚のQ&A」を用意するだけで、現場の心理的な負担は大幅に軽減されます。

事務ミスの防止(自治体連携)

8月1日の施行に合わせ、補足給付の認定更新や請求業務が重なります。

  • 対策: 事務担当者は自治体と密に連携し、新しい判定基準に基づく認定証の更新や、請求時の適用ミスがないようダブルチェックを行ってください。

4. まとめ:法改正を「組織の力」に変える

今後も介護業界の変化は続きます。

そのたびに現場が混乱するのか、それとも「この施設は情報を正しく伝え、守ってくれる」という評価を得るのか。

その分かれ道は、経営者が「制度変更というチャンスをどう現場に落とし込むか」にかかっています。

今回の改正は、現場を揺るがすような大きなものではありません。

だからこそ、丁寧な対応を通じて「利用者ファースト」の姿勢を示す絶好の機会です。

制度をただ消化するのではなく、利用者さまに「安心」を届けるためのツールとして、この改正を前向きに活用していきましょう。