2026. 6. 5 「知らなかった」では会社が潰れる?許可取り消しに直結する外国人雇用の新リスク

「不法滞在者ゼロプラン」
入出国在留管理庁 2026年5月22日

建設業、不動産業、そして自動車運送業を営む経営者の皆様、こんにちは。

人手不足が深刻化する中、現場を支えてくれる外国人スタッフは、今や会社にとって欠かせない、共に汗を流す大切な仲間ではないでしょうか。

しかし、ここで皆様に、経営者として将来を見据えて絶対に知っておかなければならない「非常に重要なニュース」をお伝えしなければなりません。

「うっかり不法就労の外国人を雇ってしまった。でも、こっちだって騙されたんだ。知らなかったんだから仕方がないだろう」

これまでは、そうした言い訳が通用したケースもあったかもしれません。

しかし、これからは違います。

国が不法滞在や不法就労の取り締まりをこれまでにないレベルで強化しており、もし「不法就労助長罪」に問われれば、皆様が何十年もかけて必死に守ってきた建設業の許可、宅建業の免許、運送業の営業許可が「一発で取り消し」になり、即座に廃業に追い込まれる時代がすぐ目の前まで迫っているのです。

今回は、将来の法改正を見据え、今この時期に対策へ取り組むことで「ピンチをチャンスに変え、元請けや取引先からの信用をガッチリ勝ち取る方法」を、わかりやすく徹底解説します。

1. 6月は「外国人雇用啓発月間」:今年の重みは例年と違う!

毎年6月は、厚生労働省が定める「外国人雇用啓発月間」です。

令和8年度(2026年度)の標語は、「ともに働き、ともに支える社会へ ~外国人雇用はルールを守って適正に~」とされています。

この月間は、外国人を雇う際のルールを改めて確認しましょうという、毎年恒例の啓発期間なのですが、今年の6月は例年とは重みがまったく違います。

経済の現場を支えてくれる外国人材は宝ですが、その一方で、ルールを無視して働く不法就労者や、それを裏で手引きして大金を稼ぐ悪質なあっせん業者が後を絶ちません。

国はこうした状況を「これ以上は見過ごせない」として、真面目にルールを守って外国人を雇用している会社を守るためにも、違反した会社へのペナルティを猛烈に厳しくする方向性を打ち出しました。

現時点で法律がすべて変わったわけではありません。

しかし、「方針が出た」ということは、未来の予測ができるということです。

先手を打って動く経営者こそが、これからの時代を生き残ることができます。

2. 入管庁が公表した「不法滞在者ゼロプラン」と将来の法改正

出入国在留管理庁(入管庁)が5月22日に公表した、最新の「不法滞在者ゼロプラン(不法就労等外国人対策の推進)」では、国を挙げた徹底的な取り締まり方針が示されました。

なぜ、国はここまで躍起になって取り締まるのか?

国が本気になっている背景には、無視できないデータがあります。

令和7年(2025年)の1年間で、国から「強制退去」などの手続きをとられた外国人のうち、なんと72.9%(1万3,435人)に不法就労の事実が認められました。

不法就労が増えると、日本の社会には以下のような深刻な悪影響が及びます。

  • 労働市場への悪影響:真面目な日本の労働者の仕事が奪われたり、業界全体の給料水準が下がったりする。
  • 社会保障制度への不当な負担:税金や社会保険料を払わない人が増え、国や地域の制度が成り立たなくなる。
  • 犯罪の温床:不法に稼いだお金が海外へ不正に送金されたり、人身売買などの大きな犯罪につながったりする。

これを根絶するため、政府は「不法就労対策パッケージ」を強力に進めています。

経営者への最大の影響:「業法の欠格事由」への追加(※将来的な方針)

今回のプランの中で、建設業・不動産業・自動車運送業の経営者が最も警戒しなければならないのが、「不法就労助長罪」による刑罰が、それぞれの業界の法律(業法)における「欠格事由」に将来的に盛り込まれる方向で調整が始まったという点です。

「営業許可を取り消します、更新も認めません」という、会社にとっての死刑宣告です。

これまでは、不法就労を発生させてしまうと、労働者の派遣事業や職業紹介の免許が取り消されるレベルの連携でしたが、これからは皆様の本業である建設業、不動産業、運送業の許可そのものが剥奪されるリスクになります。

これは「将来的にそういう法律に変えていく」という予告です。

今年の6月にいきなりこのルールで処分されるわけではありません。

しかし、だからこそ「今のうちに対応しておくこと」が、会社の未来を大きく左右するのです。

3. 国が導入している「不法就労対策」の具体的な中身

国は、現時点でも使える最新の仕組みをどんどん導入しています。

今のうちからこれらを使いこなしておくことが、会社の防衛策になります。

(1) 「在留カード読取アプリ」の普及と進化

外国人が日本に滞在するための証明書である「在留カード」ですが、最近の偽造カードは「見た目」だけではプロでも見破れないほど精巧に作られています。

そこで入管庁は、カードに埋め込まれているICチップの情報をスマートフォンで瞬時に読み取れる「在留カード等読取アプリ」を無料で提供しています。

令和7年11月からは、そのカードが現在も有効か、すでに失効しているかをリアルタイムで確認できる機能も追加されました。

将来、法律が厳しくなった時には、「このアプリで確認していなかった」ということ自体が、会社側の大きな落ち度とみなされるようになります。

今から使い慣れておくことが重要です。

(2) ハローワークへの届出(外国人雇用状況届出)の厳格化

外国人を一人でも雇ったとき、または辞めたときは、ハローワークへ届け出ることが法律で義務付けられています(怠ると30万円以下の罰金)。

この届出データは、今後、入管庁のシステムとオンラインで密接に繋がります。

届け出をしていないことや、嘘の登録をしたことが発覚した場合、労働局だけでなく、警察や入管庁が一体となって会社への調査に踏み込んでくる体制が整えられています。

(3) インターネットやSNSを使った積極的な摘発

最近の傾向として、技能実習先などからいなくなってしまった外国人が、インターネットの交流サイトを通じて「すぐに現金がもらえる仕事」を探し、現場に紛れ込むケースが急増しているようです。

入管庁はネット上の書き込みを監視・分析する機能を強化しており、不法な労働者をあっせんするブローカーだけでなく、それを利用して安く雇おうとする会社をターゲットに、厳しい取り締まりを行っています。

4. 三大業界が直面する、それぞれの危ないポイント

特に「建設」「運送」「不動産」の3つの業界は、国からの監視の目が最も厳しい業界です。

自社の状況に当てはまるものがないか、今のうちにチェックしておきましょう。

建設業の危険:複雑な「重層下請構造」

建設現場では、自社が直接雇っている社員だけでなく、二次下請け、三次下請けといった協力会社が多くの職人さんを連れてきます。

将来の法改正後は、「うちが直接雇ったわけじゃないから関係ない」という言い訳は通用しなくなります。

元請けや上位の下請け会社として、現場に入るすべての外国人の在留カードを正しく確認する仕組みを今から作っておくことが、現場の安全と会社の許可を守る鍵になります。

自動車運送業の危険:新しい分野としての注目と「労働時間」

運送業界でも外国人の受け入れが本格的に始まっていますが、ここで特に注意が必要なのが「留学生のアルバイト」や「家族滞在」といった資格で働く外国人の時間制限です。

法律により、留学生などは「週に28時間まで」しか働いてはいけません。

人手不足だからといって、この時間を超えて長距離トラックに乗せたり、シフトを過剰に詰め込んだりする行為は、明確なルール違反です。

今から稼働管理を徹底しておく必要があります。

不動産業の危険:「危険な作業場(不適正ヤード)」への土地・建物の賃貸

不動産業の場合、直接外国人を雇っていなくても油断できません。

所有している土地や倉庫、あるいは仲介した物件が、盗難車の解体場所や、不法就労者が集まって隠れ住む拠点(不適正ヤード)として使われてしまうケースが今、大問題になっています。

怪しい外国人グループや実態のわからない法人に物件を貸し出す際は、用途をしっかり確認する癖を今からつけておきましょう。

5. 今のうちに取り組むことで「会社の信用」が圧倒的に高まる理由

「法律が変わるのがまだ先なら、今すぐ何かする必要はないのでは?」と思われるかもしれません。

しかし、それは大きな間違いです。

この「移行期」にいち早く動くことこそが、経営上の最大のチャンスになります。

理由①:元請けや大手取引先から「選ばれる会社」になる

大企業や大手の元請け会社は、コンプライアンス(法令遵守)に非常に敏感です。将来的に下請けの不法就労で自社の現場が止まるリスクを何よりも恐れています。

そんな中、皆様の会社が今から「うちは入管庁の公式アプリを導入し、外国人雇用のチェック体制を完璧にしています」とアピールできたらどうでしょうか?「あの会社は先を見据えてしっかりやっている。安心して仕事を任せられる」と、取引先からの信用は格段に跳ね上がります。

理由②:トラブルを未然に防ぎ、法改正時に慌てない

法律が変わってから一斉に対策を始めようとしても、現場のスタッフが新しいルールに慣れるまでには時間がかかります。ミスが起きやすいのも法律が変わった直後です。

今年の6月という比較的ゆとりのある時期から、予行演習として確認プロセスを社内に浸透させておくことで、いざ本番の法改正が来たときには、どこよりも安全で強固な経営体制ができあがっています。

6. 「今日から始める4つのステップ」

未来の法改正時にあわてないため、そして今すぐ会社の信用を高めるために、今日からできるアクションを始めましょう。

【ステップ1】まずは雇い入れ時に「国の公式アプリ」を使う習慣をつける

アルバイトでもパートでも、新しく外国人を雇い入れる際は、入管庁の「在留カード等読取アプリ」を使ってICチップを読み込むことを「社内ルール」にしていきましょう。 アプリで確認した画面のスクリーンショットを保存し、雇用管理の台帳と一緒に保管しておく。このひと手間を今のうちから仕組み化するのです。

【ステップ2】ハローワークへの届出に漏れがないか、今すぐ総点検する

これまでに雇った外国人の届出が正しく行われているか、会社の書類を一度すべてチェックしてください。特に、短い時間の留学生アルバイトなどは届出が漏れがちです。 もし漏れが見つかっても、今ならハローワークに相談して修正すれば何の問題もありません。今のうちに自社を「綺麗な状態」にしておくのです。

【ステップ3】現場のリーダー(責任者)に「未来のルール」を伝えておく

現場の責任者に、「将来的には、確認不足の不法就労一発でうちの会社の営業許可がなくなる法律ができる。だから今から、在留カードの確認を絶対にうやむやにしないでくれ」と、未来の危機感を共有しておきましょう。社長の目の届かない現場での「うっかり違反」を防ぐ最高の予防策になります。

【ステップ4】契約書の見直しを少しずつ進める

特に建設業などでは、下請け会社と新しく交わす契約書の中に、「不法就労の外国人は絶対に就労させないこと」といった文言を少しずつ盛り込んでいきましょう。これもまた、取引先に対して「うちはコンプライアンスを徹底している」という強い姿勢を示すアピールになります。

7. おわりに:ルールを守る真面目な経営者が勝つ時代へ

国が取り締まりの強化や将来の法改正へと舵を切ったのは、決して外国人の皆さんを排除するためではありません。

ルールを無視して不法に安い給料で外国人をこき使い、不当に安い価格で仕事を受注して業界の価格を破壊するような、悪質な業者を市場から淘汰させるためのものです。

つまり、正しくルールを守り、誠実に経営されている皆様を守るための改革なのです。

今年の6月はまだ現行法のままです。

しかし、だからこそ今、先んじて動き出す会社が、取引先や地域社会から「信頼できるパートナー」として選ばれ、勝ち残っていくことができます。「ピンチ」を、他社と差をつける「最高のチャンス」に変えていきましょう。

この「外国人雇用啓発月間」という絶好のタイミングを機に、まずは自社の外国人雇用の仕組みを再確認して、一歩進んだ「信用の高い会社」作りを始めてみませんか?

【今回参照した公的な資料とURL】
本ブログ案の作成にあたり、以下の情報を基にしています。

(※本記事の内容は、令和8年6月4日現在の法令・公表資料に基づいています。)