2026. 7. 6 【2027年1月施行】労働災害報告が変わります! ~経営者が知っておくべき「現場の安全」と「新しいルール」~

労働安全衛生法が改正され、令和9年(2027年)1月1日から、現場の安全管理と労働災害報告のルールが大きく変わります。

労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(令和7年法律第33号)省令(R9.1.1施行)
https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001682758.pdf

これまで、「うちは自社の社員をしっかり守っているから大丈夫」と考えていた経営者の方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、今回の改正は、現場で共に働くすべての人に目を向けるよう求められる内容です。

今回の改正がなぜ重要なのか、経営者としてどのような備えが必要なのかを分かりやすく解説します。

1. 「自分の会社以外の人」のケガも報告が必要になります

今回の改正の最大のポイントは、「自社の社員ではない人」が現場でケガをした場合にも、会社が国へ報告しなければならないという点です 。

これまで労働災害報告は、原則として自社の「労働者」が対象でした。

しかし、今後は「一人親方」や「労働者を雇っていない会社の役員」なども、現場で作業中に亡くなったり、4日以上休業するようなケガをしたりした場合には、報告対象となります 。

これを「特定注文者(元請けなど)」として報告しなければならないケースが多くなります 。

つまり、現場の安全責任を負う立場として、自社の社員だけでなく、協力会社の方々や個人事業主の方々の安全までしっかりと把握しておく必要が出てくるのです 。

2. 手続きは「デジタル化」が基本になります

次に、報告の手続き方法についても大きな変更があります。

これまで紙の書類で提出していた労働災害報告ですが、令和9年1月からはインターネット経由(電子申請)による報告が原則となります 。

「パソコン操作が苦手だから」といった理由で、これまで通り紙の書類を提出することも、経過措置として当面の間は認められています。

しかし、国全体としてデジタル化を推進している流れは変わりません。

今のうちから、電子申請の仕組みに慣れておく、あるいは信頼できる社労士と相談して、スムーズに報告できる体制を整えておくことをお勧めします 。

3. 外国人の方が被災した場合の報告がより細かくなります

現場で働く外国人の方が増えている今、この点も非常に重要です。

これまでの報告項目に加え、今後は「国籍・地域」と「在留資格」を報告することが義務付けられます。

これは自社の社員だけでなく、現場で作業する個人事業者の方が外国人の場合も同様です。

現場の管理において、「誰がどのような資格で働いているのか」を正確に把握しておくことは、適正な労務管理の基本です。

今回の改正を機に、現場の作業者リストを見直してみるのも良いでしょう。

4. 隠さず報告できる環境づくりが、最大の「リスク管理」です

ここが最もお伝えしたい点です。

今回の改正には、「事故の報告を理由に、不利な扱いをしてはいけない」という禁止事項が明確に盛り込まれました。

具体的には、事故を報告した個人事業主に対して、取引を停止したり、現場への立ち入りを禁止したりといった嫌がらせを行うことは法律で禁じられています。

経営者の方の中には、「事故が多発していると評判が悪くなるのでは」と不安に思う方もいるかもしれません。

しかし、事故を隠して無理をさせ続けることは、かえって重大な労働災害を引き起こすリスクを高めます。

大切なのは、一人親方や協力会社の方々に対して、「もしもの時は隠さず報告してください。報告したことで取引を打ち切るようなことは一切しません」と明確に伝えることです 。

こうした信頼関係を築くことこそが、本当の意味でのコンプライアンスであり、企業のブランドを守る最善の策です 。

経営者として今すぐ始めるべき準備

令和9年1月の施行までにはまだ時間がありますが、現場の意識を変えるには時間がかかるものです。

まずは以下の3点を意識してみてください。

  • 現場にいる「すべての人」を把握する: 自社の社員だけでなく、どんな個人事業主が現場に出入りしているのか、再確認しましょう。
  • 「隠さない文化」を作る: 事故は悪いことではなく、「報告すること」が安全を守る第一歩であることを、現場のリーダー層とも共有してください。
  • デジタルへの備え: 労働災害が起きた際、どこに連絡し、どうやって電子申請を行うのか、フローを確認しておきましょう。

安全な現場づくりは、一朝一夕には完成しません。

しかし、今回の法改正を「面倒な事務作業が増えた」と捉えるのではなく、「みんなが安心して働ける環境を整えるためのチャンス」と捉えてみてはいかがでしょうか。

現場の安全は、経営の安定に直結します。

ぜひ、今のうちから少しずつ準備を始めてみてください。