2026. 7. 1 【千葉の介護事業経営者必見】法改正で何が変わる?人手不足を乗り越える「6つの切り札」と経営戦略

社会福祉法等の一部を改正する法律の公布について(通知)(厚労省)
https://www.mhlw.go.jp/content/001715668.pdf

令和8年6月19日、参議院本会議において「社会福祉法等の一部を改正する法律」が可決・成立し、同月25日に公布されました。

この法改正は、長年介護業界を悩ませてきた「人手不足」や「経営の不安定さ」という構造的な課題に対し、国が明確な解決の道筋を示した重要な転換点です。

特に千葉県のように、松戸や船橋といった活気ある都市部と、房総半島南部や銚子市周辺などの過疎地が混在する地域では、一律のルールでは対応しきれない課題が山積しています。

今回の改正は、そうした地域特性に合わせた柔軟な運営を可能にする可能性を秘めています。

この法改正が経営者にどのような恩恵をもたらすのか、なぜ今、準備が必要なのかを見ていきましょう。

今回の法改正は「経営の安定化」を公的に保障する第一歩

結論から申し上げますと、今回の法改正の最大の意義は、「介護サービスの提供」と「経営基盤の確立」が両立すべきものとして法律に明記されたことにあります。

これまで介護事業経営者は、質の高いサービスを維持することに奔走するあまり、自身の経営基盤が揺らぐというジレンマを抱えてきました。

しかし、今回の改正によって、国や都道府県は「サービスの質」だけでなく「安定した経営基盤の確立」を義務として担うことになります。

これは単なるスローガンではなく、今後打ち出される支援策の根拠となる極めて重要な方針転換です。

現場が劇的に変わる「6つの注目ポイント」

経営者として特に注目すべきは、現場の負担軽減と業務効率化を直接的に支援する以下の6つのポイントです。

1. ケアマネジャーの「更新制」廃止による負担減

これまで多くのケアマネジャーが、数年ごとの「更新研修」に膨大な時間と費用を費やし、離職の一因となってきました。

  • 有効期間の撤廃:ケアマネ証の有効期限がなくなります。
  • 負担の軽減:更新研修が廃止されることで、現場を離れる期間を最小限に抑えられます。
  • 質の維持:研修自体がなくなるわけではなく、都道府県知事の命令や事業主の努力義務として「プロとしての資質向上」が図られます。

2. 経営基盤の強化を国・県が支援

「質の高いサービス」と「安定した経営」を両立させるため、都道府県が経営支援を行う枠組みが明確化されました。

これにより、経営難に陥った際や経営戦略の見直しにおいて、行政側の支援が得られやすい環境が整います。

3. デジタル化(DX)による事務作業の効率化

人手不足の大きな要因である「書類仕事」にメスが入ります。

  • マイナ保険証(電子資格確認)の導入:利用者のカード提示で資格確認が自動化され、コピーや有効期限チェックの工数が激減します。
  • 情報共有の迅速化:市町村とのやり取りや事業所間の情報連携がスムーズになり、空いた時間をケアや教育に充てることが可能になります。

4. 人口減少地域に向けた「特別ルール」の創設

千葉県内の過疎地域において、人員基準を柔軟に運用できるようになります。

  • 特定地域居宅サービス等:都道府県の条例により、一部の基準を緩めたサービス提供が認められます。
  • 市町村の直接運営・委託:民間単独での維持が困難な場合、市町村が主体となる運営スキームが強化されます。

5. 有料老人ホームの登録制度とサービスの透明化

有料老人ホームに対する「登録制度」が新設されました。

  • 信頼の向上:登録を受けることで、一定基準を満たしたホームとして社会的信頼が高まります。
  • 新たな支援スキーム:登録施設介護支援により、入居者へのケアマネジメント体制が強化されます。

6. 地域ぐるみの人材確保

一事業所の努力に頼らず、地域全体で人材を確保する体制が整備されます。

  • 協議会の設置:都道府県が主体となり、ハローワークや養成校と連携する協議会が設置され、組織的な採用・定着支援が進みます。

なぜ今、経営者が「準備」を始めるべきなのか

本改正は令和9年(2027年)4月1日の施行を目指していますが、準備は今から始めるべきです。

その理由は大きく分けて3つあります。

  1. 社内規定の再構築が必要:更新研修廃止に伴う資格管理や、DX導入による業務フローの変更は、就業規則や給与規定の見直しに直結します。
  2. 地域特性に合わせた戦略の選定:千葉県のような広域な自治体では、どの特例を自社が活用すべきかの見極めが遅れると、競合との差が大きく開きます。
  3. デジタル導入には時間がかかる:システムの切り替えやスタッフの教育は一朝一夕には進みません。法改正に合わせて効率を最大化するには、今のうちからICT基盤を整える必要があります。

法改正をチャンスに変えるために

今回の法改正は、単なるルール変更ではなく、介護事業者が抱える「孤独な悩み」を地域全体、そして行政と一緒に解決していくための新しい枠組みです。

「ケアマネさんが辞めてしまうかも」という不安も、「人が足りなくて基準が守れない」という焦りも、今回の改正内容を正しく理解し、先行して対策を打つことで必ず改善の道が見えてきます。

具体的にどの項目が自社に最適か、就業規則をどう変えるべきか、まずは一度ご検討ください。

法改正の荒波を逆風ではなく「追い風」に変え、スタッフも利用者も、そして何より経営者である皆様が笑顔になれる事業所づくりを、全力でサポートさせていただきます。