2026. 4. 1 「経歴詐称」は見逃さない。裁判所も認めた「内定取消し」の正当性とは?

アクセンチュア事件(東京高判令6・12・17)
中途採用者の経歴調査、虚偽判明し解雇有効か 内定取消し相当で控訴棄却

中途採用時の「経歴調査」と「虚偽申告への厳正な対応」

中途採用において、履歴書や職務経歴書の内容に虚偽があった場合、それが採用判断に直結する重要な事項であれば、採用内定の取消しは「客観的に合理的で社会通念上も相当」と認められます 。経営者の皆様が、自社の信頼関係を損なうリスクを未然に防ぐためには、適切な選考プロセスと事後の毅然とした対応が重要です。

経歴は能力だけでなく「誠実性」を測る尺度

なぜ経歴詐称がこれほど重く捉えられるのでしょうか。それは、経歴は単なるスキルの証明ではなく、従業員としての「適格性」や「誠実性」を測る尺度だからです。

信頼関係の土台: 企業が応募者の申告を真実と前提して判断するのは当然の権利です。

不適切な人物の回避: 過去の紛争や解雇歴を意図的に隠す行為は「背信性が高い」とみなされます。

組織運営の保護: 円滑な相互信頼関係を維持できない人物を雇用し続けることは、企業の健全な運営を妨げるリスクとなります。

アクセンチュア事件に見る裁判所の判断

今回のアクセンチュア事件では、裁判所は経営者側の判断を全面的に支持しました。

事案の概要: 内定者が直近1年間の「雇止めによる紛争」や「試用期間中の解雇歴」を隠して応募し、後の経歴調査で発覚しました。

判決のポイント: 詐称された期間が履歴書全体の半分近くに及び、紛争の端緒となる空白期間を意図的に隠した点は極めて不自然で背信的であると断じられました。

結果: 東京高裁は一審を支持し、内定取消しを「客観的に合理的で社会通念上相当」として、元内定者側の請求をすべて退けました。

明るい未来を築く「攻め」の人事労務

「人」が宝である中小企業こそ、採用の入り口を整えることが、より明るい未来を築く経営戦略となります。

守りの姿勢だけでなく、以下の「攻め」の人事労務を実践しましょう。

経歴調査の徹底: 応募者の同意を得た上で、前職の状況などを可能な限り調査・検討する仕組みを導入してください。

試用期間の活用: 採用内定から勤務開始までが短い中途採用では、入社後の試用期間中に適格性をしっかり見極めることが重要です。

そういえば、昨年受けた第21回紛争解決手続代理業務試験(2025特定社労士試験)の問題も「採用内定取消の有効性」の可否を問う問題でした。

被告は酒席で横柄な態度をとり、また、前職の退職理由について、面談時の理由と異なり「客先の担当者と喧嘩になり、上司とも喧嘩をし、翌日に退職願を出した」といったことが、問題となったものでした。

アンマッチをなくして輝く未来を築きましょう。