2026. 6. 29 シフト制雇用、なんとなく回していませんか?――令和8年最新ガイドラインで見直す管理術
いわゆる「シフト制」について(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_22954.html
経営者の皆様、こんにちは。
「シフト制だから、とりあえずこれで大丈夫だろう」
そんなふうに、長年なんとなく続けてきた雇用管理。
実は今、その「慣習」が経営の大きなリスクに変わろうとしていることをご存じでしょうか。
令和8年6月19日、厚生労働省の「いわゆるシフト制」に関する留意事項が改正されました。
法改正は難解に見えますが、本質はシンプルです。
「会社と働く人の間で、ルールをしっかり握り合っているか」。
これに尽きます。
今回は、最新のガイドラインを踏まえた「トラブルを未然に防ぎ、チームの信頼を得るシフト運用のヒント」をお話しします。
1. 「うちもシフト制」の落とし穴
まず、貴社の今の形を整理してみましょう。
厚労省の定義では、「いわゆるシフト制」とは、「契約した時点では勤務日や時間が決まっておらず、期間ごとに作る表で初めてハッキリする」というスタイルを指します。
もし「三交替勤務」や「早番・遅番のパターンが完全に決まっている」というケースなら、これは厳密にはシフト制に含まれません。
「うちはシフト制だから」とひとくくりにして書類を適当に済ませていると、万が一の時に足元をすくわれかねません。
「うちは一体どういう契約になっているのか?」と、まずは契約書を一度見直すことが、一番の近道です。
2. 「言った・言わない」をなくす、3つの魔法のルール
シフト制のトラブルで一番多いのは、やはりコミュニケーション不足です。
特に採用時や契約時、「シフトによる」という一言で済ませてしまうのはとても危険です。
そこでオススメしたいのが、スタッフと以下の3点を確認しておくこと。
これだけで、お互いの安心感が全く変わります。
- 「最大で週何回(何時間)まで」という上限を決めておく
- 「月15日程度」のような目安を伝えておく
- 「月10日は必ず入ってほしい」といった最低限のラインを決めておく
最低限の回数を決めておけば、スタッフも生活設計がしやすく、経営側も「人が足りない!」という事態を防ぎやすくなります。これぞ、経営と現場のWin-Winな関係ですよね。
3. ルールは「アプリやツール」でスマートに
シフト表の通知や変更、「来月のシフトはまだ?」なんてやり取りで疲弊していませんか?
- 「変更はいつまでに」という期限を明文化する
- SNSやアプリを活用して、後から「言った・言わない」にならないよう履歴を残す
- 会社都合の変更なら、しっかりルールを守る(急に「今日は休みでお願いします」というのはトラブルの元です)
今は便利なシフト管理アプリがたくさんあります。
手書きの管理から少しデジタル管理に移行するだけで人的ミスは驚くほど減ります。
4. 知っておきたい「法改正」の要点
令和8年6月の改正で特に押さえておきたいのが、以下の2点です。
- 有給休暇は権利:「シフトが決まっていないから有給は取らせない」というのはNGです。短い時間の勤務でも、条件を満たせば有給は発生します。
- 休業手当の支払い:会社の都合で予定していたシフトを休ませる場合、平均賃金の60%以上の手当を支払う義務があります。ここだけはしっかり守るのが、長く信頼される経営者の姿です。
5. 判例が教える「契約の重要性」
最近の裁判例(MENYA事件)で面白い動きがありました。
会社が合理的な範囲でシフトを打診しているにもかかわらず、労働者が正当な理由なくそれを拒否し続けた場合、就労義務が発生していない以上、会社に賃金支払義務は生じないということです。
「契約書に『シフトは個別に定める』としっかり書いておけば、会社が打診したシフトを、従業員が理由なく拒否し続けることは難しい(つまり、常に希望通りにする義務はない)」という判断が示されたのです。
「しっかり契約書でルールを決めておけば、会社は法的に守られる」ということです。
最後のアクション:明日からできる「3つのチェック」
長く安定して会社を持続していくために、まずはここから始めてみませんか?
- 労働条件通知書を読み返す: 「シフトによる」という抽象的な記載になっていないかチェックしてください。
- 就業規則を確認する: ルールが誰にでも分かるようになっているか見直してください。
- ICTツールを検討する: アプリなどを使って管理を楽にする仕組みを考えてください。
「うちのやり方、今のガイドラインに合っているかな?」と少しでも不安になったら、専門家に相談してください。
少しの工夫で、現場のストレスは劇的に減らせます。
今日よりも明日、少しだけ管理がスマートになれば、経営者としてもっと事業に集中できるはず。
※本記事は、厚生労働省の「シフト制」留意事項および最新の労働判例に基づいて構成しています。



